四代目中村歌右衛門の団七ノ茂兵衛と二代目中山南枝の岩井風呂富
よだいめなかむらうたえもんのだんしちのもへえとにだいめなかやまなんしのいわいぶろとみ
概要
大坂島之内の置屋岩井風呂で起こった殺傷事件を、事件後すぐに作者並木正三が歌舞伎に仕立てた。正三の名をそのまま役名として、主人公茂兵衛に意見する人物にするなど珍しい芝居で、上方ではしばしば上演された。愛する茂兵衛のため偽りの縁切りをする富を憎んで逆上し、茂兵衛は置屋主人や恋敵らを殺害するのである。本作は刀を振り回す殺気だった茂兵衛と富が描かれ、豪華な衣裳ではないが、刀や富の帯の模様に使われた絵の具が目を引く。