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『高岡市公報』

たかおかしこうほう

概要

『高岡市公報』

たかおかしこうほう

文書・書籍 / 富山県

発行:高岡市役所,印刷:高岡印刷株式会社(坂下町)

富山県高岡市

大正11~昭和5年/1922~30年

紙・冊子(合綴本)・印刷(白黒)

各 縦22.7cm×横15.4cm(菊版)

104冊(2冊に合綴)

富山県高岡市古城1-5

資料番号 1-03-170

高岡市蔵(高岡市立博物館保管)

高岡市会(高岡市議会)での決議事項などを掲載した広報誌『高岡市公報』であり、大正11年(1922)4月15日に創刊された。凡そ毎月15日に刊行されていた月刊誌である。
前年の第8代市長鳥山敬二郎の辞任による次期市長選定最中に創刊され、市長代理助役であった早苗西蔵は第1号序文において、創刊目的を「欧州大戦後ニ於ケル内外ノ情勢ハ、更ニ一層産業ニ教育ニ衛生ニ交通ニ、将又、都市社會事業等ニ對シ、市民ノ自覚自奮ヲ促シ、國家ノ基礎根本タル自治ノ完成ヲ要求スルコト、極メテ切ナルモノアリ。是レ本市ガ市會ノ決議ヲ経テ、茲ニ市公報ヲ刊行シ、普ク市政ニ関スル事項ヲ報導シ、市民諸君ヲシテ我ガ市勢ノ實状ヲ知得スルノ一端タラシメントスル所以」としている。市会規則・市告示・庁達・辞令・彙報・勧業・公告・条例などの事項が掲載されている。
各冊は凡そ15~20頁であり、後世、合綴されている。
第1号から第57号までの合綴(第3・4・6・7・18・31・32・33・45号は欠本)には、大正11年4月から同15年12月までの内容で、第9代市長上埜安太郎と第10代市長南慎一郎の時期である。その間の号外は、新年度予算案の確定や衆議院選挙・県会議員選挙の告示に関連する5点である。
第58号から第105号までの合綴(第65・83・86・92・96・102・103・104号は欠本)には、昭和2年(1926)1月から同5年12月までの内容で、第10代市長南慎一郎と第11代市長早苗西蔵の時期である。その間の号外は、衆議院選挙・県会議員選挙の告示に関連する7点である。
 麻紐で綴じられており、汚れやシワが見られ劣化している。

【鳥山敬二郎】 天保13年(1842)生~大正15年(1926)没
射水郡高岡木町で、廻漕業を営み肝煎職などを担った鳥山(小竹)屋に生まれる。
鳥山屋29代目として高岡の貧民救助に功績があり、明治3年(1870)高岡総町肝煎に任じられる。同4年に豊饒社を設立し、県内の農民に肥料を販売した。藤井能三らと高岡米商会所を設立し,経済界でも活躍。同7年には高岡古城公園・桜馬場が民間に払い下げられた際は公園指定に奔走し、本丸に瑞龍前田公遺徳碑を建立した。同15年には米沢紋三郎らと富山県分県運動に、大橋十右衛門らと中等教育の場である越中義塾の創設に尽くす。同25年の官営北陸鉄道(現・あいの風とやま鉄道)敷設に活躍。同35年・同37年の2度衆議院議員となり、後に第7・8代高岡市長に就任し、北鮮航路の開設、大正9年(1920)の中越鉄道の国営化など高岡の近代化の基礎を築いた。享年85。
当館図録『企画展 ふるさとの偉人』高岡市立博物館,1999

【上埜安太郎】 慶応元年(1865)生~昭和14年(1939)没
砺波郡上向田村(現・高岡市福岡町)出身。父は豪農上埜次平。上向田村の抗志小学校・石動の申義小学校を経て、富山の岡田呉陽に学ぶ。
砺波郡役所に勤務するが、明治25年(1892)県会議員に初当選し、副議長に選出された。同26年には砺波郡の東西分離に奔走し、県会議員に再選した。同35年から昭和3年(1928)の間、衆議院議員を勤め帝国議会決算委員長、原内閣の司法省勅任参事官、田中義一内閣の鉄道政務次官に任命されている。
明治24年の北陸自由党の結成に関わり、立憲改進党に転属して院内幹事・政務調査会理事・富山県支部長を務めた。大正13年(1924)立憲政友会の分裂時には政友本党へ転属するが、同15年に中橋徳五郎と共に復党した。
大正11年に第9代高岡市長に就任し、高等商業学校の高岡誘致を実現させ、商都高岡の発展に寄与した。昭和5年には第12代富山市長に就任した。享年75。
HP「富山大百科事典 電子版」(2015年11月28日アクセス)

【南慎一郎】 明治18年(1885)生~昭和40年(1965)没
高岡市中川出身。父は富山県会議長を務めた南兵吉。義兄は西園寺内閣の内閣書記官長・斎藤内閣の逓信大臣に任命された南弘である。
大正15年(1926)に第10代、昭和23年(1948)に第17代の市長を務める。経済不況と戦後の苦難期において市勢の伸展に尽くした。昭和3年に全国に先駆けて上水道布設に着手、同24年に下水道事業を起工、近代都市の基盤造成に貢献した。享年80、同年に名誉市民。
太田久夫著「南弘」(『越中人譚』第29号,株式会社チューリップテレビ,2000)
HP「高岡市」(2015年11月28日アクセス)

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