草虫図
概要
①中国では常州(江蘇省毘陵)を中心に多くの草虫画が描かれ、豊かな色彩で幸せあふれる主題を表しました。これらの絵画は、日本では「常州【じょうしゅう】(毘陵【びりょう】)草虫画」と呼ばれ愛されてきました。本図はその中でも古い作例に属し、自然さと克明な描写を特徴としています。
②(左幅) 中央に蜀葵(しょっき)(タチアオイ)と菊、手前左にオオバコ、右にナスを描いています。トンボや蝶、蜂などが飛び、カマキリが顔をのぞかせます。豊かな花を咲かせる芙蓉【ふよう】には栄華の、萱草【かんぞう】には男子誕生を願う意味がありました。華麗な画面に人々の幸せの願いが充満しています。
③(右幅) 中央に大きく黄立葵(トロロアオイ)と鶏頭【けいとう】、鳳仙花【ほうせんか】を描き、手前左に地瓜、右に露草を描いています。それぞれ番【つが】いの蝶や蜂が飛び、根元に一匹のカタツムリが這い出しています。鶏頭には立身の意味が、多くの実をつける植物は、多子を願う吉祥の意味もありました。(130226_t081)
(170411_t081数文字追加)