緑釉壺
りょくゆうつぼ
概要
外面全体および内面の頸部以上に緑釉を施した壺である。高台のように見える円筒状部分は、なかで腹部とつながった「仮圏足」で、底板をともなう。腹部は丸く膨らみ、頸部は外反しながらすぼまる。腹部には環と獣面形の座金具「鋪首」を象った箇所が一対見られる。外面底部の3箇所には窯道具の一種であるトチンの痕跡が見られる。緑釉は全体的に銀化している。
中国の漢時代には彩色文様を施した加彩土器とともに、鉛を触媒とした緑釉陶・褐釉陶が墓への副葬に特化した器物「明器」として盛んに作られた。酒壺の一種である壺はもともと青銅器であるが、漢時代には緑釉陶でもよく写され、ほかの器種の明器とともに冥福を祈って墓に副葬された。仮圏足、盤状口などの特色ある形状や、鋪首の形状から、後漢時代前期(1世紀)に製作された、典型的な緑釉壺であると位置づけられる。