文晁墨宝(文晁縮図)
ブンチョウボクホウ(ブンチョウシュクズ)
概要
松平定信の命により、『集古十種』編纂のため鎌倉の古社寺を訪れた谷文晁が、各所に所蔵される書画古器物類や途次目にした風景文物等を描き留めたもの。寿福寺の伝源実朝筆「日課観音図」、七里ヶ浜から富士山を望む風景、報国寺の「天岸慧広木印」( 現在重文に指定) などが含まれるが、一次写生ではなくのちに浄書されている。個々の情報も重要だが、文晁の落款はこれが「作品」として認識されていたことを示唆しており興味深い。南画家八木巽所の識語によれば、文晁から交友のあった浜田杏堂に贈られたものという。