木造不動明王及二童子像
もくぞうふどうみょうおうおよびにどうじぞう
概要
本像は、不動明王像を中央に、向かって右に矜羯羅童子像、左に制多迦童子像が配されている。不動明王像は、坐像ながら上半身を強く左に捻(ひね)り、右肘(ひじ)を大きく外に張って力のこもった表現をみせている。矜羯羅童子像は、通例のように合掌して直立するが、制多迦童子像は、顔を斜め上に向けて口を開け、左足を大きく踏み上げて両手を前後に振り上げた活気のある姿である。
・作者康清は、京都の代表的な仏所である七条仏所(しちじょうぶっしょ)の流れである七条西仏所の主要な仏師の一人とみられ、天正11年(1583)には、京都の大徳寺の境内に創建された織田信長の位牌所である総見院(そうけんいん)の木造織田信長坐像(重要文化財)をその一周忌法要のために造立(ぞうりゅう)している。
・本像は、武田信玄が願主となって造立し、その菩提寺である恵林寺に納めたもので、信玄の姿を写したものと伝えられているとともに、活気のある派手やかな表現を特徴とした優品であり、甲斐の戦国時代を代表する仏像として貴重なものである。