阿須賀古神宝類 松椿蒔絵手箱内容品 白銅鏡
アスカコシンポウルイ マツツバキマキエテバコナイヨウヒン ハクドウカガミ
概要
熊野十二社と阿須賀宮の神宝中には、手箱内容品の鏡箱に添う鏡と、現状で手箱に伴わない鏡、合わせて十八面の小型鏡が伝来する。これらは、I甲68-24・I甲68-25・I甲68-26と同じ光沢のある白銅質で、文様もひじょうにシャープに表現し亀形鈕に菊亀甲文を描く鏡群(A群)と、やや灰色味を帯びた光沢のない鏡で、文様は表現にやや粗雑さが目立ち亀形鈕に花菱文を描く鏡群(B群)に大別される。本鏡は、阿須賀宮奉納の松椿蒔絵手箱に納められた鏡で、B群の特徴をもつ。 手箱・鏡箱と意匠や法量を対照すると、本来は両群の鏡がそれぞれに一揃いずつ同意匠の鏡箱に伴っていた状況が復元される。本鏡などB群は、A群に比べやや古い特徴をもつが、明徳元年(1390)にA群のスペアとして別工房で調進された可能性と、以前から別組の神宝として存在していた可能性の両方がある。