松梅孤鶴図
しょうばいこかくず
概要
逆さにした卵からまっすぐな足が生えているような姿の鶴。背を丸めた体から、頭がわずかにのぞいています。鶴は、どこに立っているのでしょうか。鶴の足のした、右下から左上に向かって斜めに伸びているのは、松の幹です。樹皮はタコの吸盤のよう。松葉は、毛の割れた筆先を勢いよくはらったように描かれています。よく見ると、墨の色に濃淡があり、淡い墨の上に濃い墨と、2回重ねて描いたのでしょうか。鶴の足元からは、ほっそりとした白梅が枝を伸ばしています。黄色いしべの連なりが、輪っかのように描かれており、鮮やかです。
水墨を基調としていますが、よく見ると梅をはじめ、鶴の頭や眼、松の幹など、要所要所に色が使われており、小さい面積ながらもアクセントになっています。
作者は江戸時代中期の画家、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)。若冲は京都・大雲院に伝わる中国・明時代の絵画からヒントを得て描いたといわれていますが、その独特過ぎるアレンジにより、かなり趣の異なった作品になっています。