木製 蓋
もくせい きぬがさ
概要
蓋(きぬがさ)というのは、絹の布や、すげなどの植物の繊維で作られた、柄(え)の長いかさです。高貴な人にさしかけ、その権威や気品の高さを表しました。この埴輪(はにわ)は、蓋を木で再現したものです。埴輪は、3世紀から6世紀に造られた、有力者や王の墓である古墳(こふん)を飾るために作られました。多くは土の焼き物ですが、このように木製のものもあります。底が平で真ん中に穴があいていることから、当初は何かの台座であると考えられていました。しかし、木の柱と一緒に発見される例や、蓋の骨や飾りをかたどった例があり、これが蓋のかさの部分であるとわかりました。柄に見立てた柱の上に載せて、立てて飾ったのでしょう。焼き物の埴輪と一緒に、古墳の縁をぐるりと囲むように立て並べたと考えられています。この埴輪が見つかった応神陵(おうじんりょう)は、2019年に世界遺産に指定された古市(ふるいち)古墳群のうちの一つで、日本最大級の古墳です。その古墳を飾るに相応しい、極めて大きな蓋です。