太刀 銘 定利
たち めい さだとし
概要
刀剣全体のほぼ真ん中を中心にして全体に反りがつき、その曲線美が描く形には無駄がありません。この太刀は、約800年前に作られて以来、研ぎ減りによる多少の変化はあるものの、大きな形の変わりはなく現在まで伝えられた貴重な作品です。作者の定利(さだとし)は、鎌倉時代の13世紀前半ごろの刀工で、京都の綾小路(あやのこうじ)に住んでいたとされています。この太刀は定利の代表作として著名です。ピカピカと光る刃(は)のある部分で、黒くみえる部分と白く見える部分の間にみえる「刃文(はもん)」という光り輝く線のような模様に注目してみましょう。何とも言いがたい細かく複雑な部分が比較的目立ち、このような刃文は12世紀の終わりから13世紀前半までの各地の刀剣で多く見られるものです。定利の作品には、これより後に流行した大模様の模様の刃文の刀剣もあり、この作品が比較的古い作風を示しているのがわかります。