遠州草筆
文明堂製遠州草筆
えんしゅうくさふで
ぶんめいどうせいえんしゅうくさふで
概要
土産物筆の一種。稲茎を親指と人差し指で爪を立てて押さえ、逆の手で引き抜くと表皮と中身(稈心)が離れるが、本筆はこの稈心を集め、先をたたきほぐして作られている。総体を藤巻仕上げにした左の草筆には、「遠州浜松文明堂」とある貼銘があり、製作元が知られる。繊細な細工から素人の手すさびではなく、専門家の手になるものと推察できるが、現在ではすでにこのような筆は作られていない。失われた技術を今に伝える貴重な一本である。