檜筆
ひのきふで
概要
右の檜筆は、木村陽山自身が「偶然市販で手に入れた」と記す珍らしいもの。檜の樹皮を束ねて、先を削って鉛筆のように使う。「試作程度のもので、感触は筆というよりもマジックの先に近く、味気ない…」というのが陽山の評価であるが、「先が磨り減った時には再び削って使える所が他に類のない手法と云えよう」という賞賛も忘れていない。左の細長い檜筆はこれとは製法が異なり、先端部分を叩きほぐすという一般的な植物筆の製法によって作られたもの。この種の檜筆は、江戸時代の高僧、慈雲(一七一八~一八〇四)が愛用したとも伝えられている。