戸井貝塚出土品
といかいづかしゅつどひん
概要
本物件は,約4,000年前の縄文時代中期末から後期初頭にかけての岩礁性貝塚である戸井貝塚から出土した骨角器を中心とする出土品である。
戸井貝塚は,函館市浜町の津軽海峡に面した標高4mから7mの緩やかな段丘の端に位置する,函館市の縄文時代を代表する貝塚である。
出土した骨角器には,主にエゾシカ角製の大小の精巧な釣り針・銛先などや,クジラ骨製の青竜刀形骨器・骨刀・剣形骨器などの他,エゾシカの角根部から作られた人形の角偶がある。
土製品には,漁労活動や海上交通に関係すると考えられる舟形土製品がある。
また貝製品としては,本州産のベンケイガイを加工した腕輪や,イモガイやタカラガイなど南方産の貝を利用した装飾品がある。
その他同遺跡の時期を特定する土器や石器,また縄文時代後期初頭の遺跡から多く出土する青竜刀形石器も多数出土している。
本物件は,北海道の津軽海峡に面した地域における貝塚出土品としては最大級の規模と豊富な内容を有し,漁労を生業とした当時の生活や採集技術などを知る上で極めて重要であり,縄文時代の貝塚文化を解明する上で貴重な資料として価値が高く,函館市の有形文化財として妥当と認められる。