北海道船泊遺跡出土品
ほっかいどうふなどまりいせきしゅつどひん
概要
本件は、日本列島最北端の離島である礼文島(れぶんとう)に所在する船泊(ふなどまり)遺跡から出土した、縄文時代後期前葉から中葉の出土品一括である。
船泊遺跡は、礼文島北部に位置する船泊湾と久種湖(くしゆこ)との間に形成された、標高十メートル前後の砂丘列の西端に位置し、平成十年(一九九八年)の発掘で、竪穴住居跡八軒、貝平玉製作を行った作業場跡六か所、墓坑二十四基と、同時期の遺物包含層が調査された。
本件は、この調査で出土した骨角牙貝製品千百五十一点、土器四十二点、石器・石製品四百二十三点から構成される総数千六百十六点の遺物である。
特に墓坑から出土した遺物は、多量の貝平玉、硬玉大珠、貝装身具など、その内容は非常に多彩であり、遺体に装着ないしは副葬された状態で出土した資料も多い。また、貝装身具の中には、本州南半以遠の地域に棲息するイモガイ・タカラガイ・マクラガイなどを素材にしたものがあり、糸魚川(いといがわ)産の硬玉、骨角器に付着したアスファルトなどは、日本海をめぐる遠方との交易を物語る。また作業場跡からは、石錐・敲石・短冊形石器・砥石など、平玉製作のための工具と考えられるものも出土した。
日本列島の最北端に所在する大規模な縄文時代遺跡からの出土品であり、当時の埋葬儀礼のあり方や、貝平玉製作や生業に関わる道具の組み合わせなどを復元するために欠かせない内容を持っており、その学術的価値は高い。