小倉祇園祭の小倉祇園太鼓
こくらぎおんまつりのこくらぎおんだいこ
概要
小倉祇園祭の小倉祇園太鼓は,祭礼行事が歴史的変遷の中で太鼓芸を中心としたものに発展した希有な事例である。小倉の八坂神社例大祭において演じられ,鋲留め太鼓を載せた太鼓山車を大勢で曳き,歩きながら打ち手が太鼓を打つものである。太鼓の両面をそれぞれ1名,計2名が打つという両面打ちで,「ヂャンガラ」と呼ぶ手平鉦に主導され,演奏される。一人が「ドロ」と呼ばれる周期的なリズムを打ち,一人は「カン」と呼ばれる複数のリズムパターンを組み合わせて構成されるフレーズを打つ。ドロに比してカンは高音とする。この演奏は,三拍をひとかたまりと捉える他に例を見ないリズムを有している。
小倉祇園太鼓は,前方と後方に1台ずつ,計2台の太鼓を載せた太鼓山車を用いる。太鼓山車の基本形は太鼓を載せる腕木(うでぎ)と台車にあり,台車に装着された腕木の位置は,歩きながらの太鼓演奏がしやすいよう工夫されている。
小倉では太鼓の芸態を「風流(ふうりゅう)」「雅(みやび)」と表現する。伝統に基づいた打法等が定められており,個人の創作性を重んじる創作和太鼓とは一線を画するものである。