赤茄子と芋
あかなすといも
概要
青い朝顔の花が咲き、芋の葉が大きく伸び育った夏の畑で、赤茄子(トマト)を収穫する農婦を描いたこの作品は、平福百穂が仲間の画家たちと无声会(むせいかい)を結成し、自然主義的な画風を追求していた頃の作品です。この時期は、百穂がアララギ派の歌人たちと交流を深めた時期にもあたっています。対象をあるがまま写実的に捉えながらも、素早い筆致で描き出された若い農婦の初々しい表情や、みずみずしい畑の色彩には爽やかな情感が漂い、身近な題材を前にした画家の張りのある心持ちがうかがえます。