北部九州の盆綱
ほくぶきゅうしゅうのぼんつな
概要
北部九州の盆綱は,福岡県や佐賀県にわたって広く分布する盆の綱引き行事で,その多くは子供たちの行事として伝承されている。稲藁などで綯(な)った綱を曳いて地区内を巡ったり,綱を引き合ったりすることで,精霊などを慰め,あるいは送るものと伝えている。
行事の期日は,8月14日や15日,あるいは16日とするなど地域差があるが,いずれも盆中に行われる。盆が近づくと,各地では綱の製作の準備がはじまる。綱の素材は,稲藁やカズラ,マコモなどで,三つ編み状に綯われ,曳き手のために手綱を付す地域もある。近年は,大人が手助けしているところが多くなっている。作られた綱は,龍や蛇を模したものとされ,水神信仰との関係もうかがわれる。
行事の当日は,子供たちが綱を曳いて地区内を巡ったり,綱を引き合ったりし,その後で,地域によっては,使用した綱を土俵にして相撲を取ったりもする。綱を曳いての道行きでは,子供たちは沿道の家々から菓子や祝儀をもらうことも多い。行事が終わると,使用した綱を村境に捨てたり,海に流したりする。
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国指定文化財等データベース(文化庁)