ラクダ
らくだ
概要
表面に箔を施し、その上からラクダの巨体を画面いっぱいに描き出しています。手前の一体は頭部を画面の外に出すことによって量塊としての存在感が際立ち、後ろのもう一体は何かを訴えかけるようにもとぼけたようにも見える表情が印象的です。本作品には親交のあった靉光も手を加えているとも言われています。月刊誌『實現』の発行人で位里たちに対する支援を惜しまなかった佐伯卓造氏の旧蔵品です。
作者の丸木位里は、広島県安佐郡(現在の広島市安佐北区)の生まれ。東京で田中頼璋の天然画塾に入門。関東大震災のため一時帰郷しますが、1934年に再び上京し、落合朗風の主宰する明朗美術研究所に通います。1936年 川端龍子主宰の第8回青龍社展に本作品を出品。1938年には、船田玉樹や岩橋英遠によって結成された歴程美術協会に参加し、第1回展を開催します。翌1939年 美術文化協会会員。1945年 被爆直後の広島に約1ヶ月滞在。俊夫人との共同制作である「原爆の図」シリーズは国際的にも広く知られるところとなりました。