孤愁
こしゅう
概要
奥田小由女《孤愁》
顔をうつむけ,うずくまる人物。衣装のたなびく様子から,激しい風にさらされているようです。人物の後ろにある壁は,この人の心象を表しているのでしょうか。ただ一人で,もの思いにふける,その孤独が白一色による表現で,一層,際立ちます。
作者の奥田小由女は,三次市吉舎町生まれ。幼少期を三次で過ごし,人形作家を夢見て上京します。この作品は日展で度々特選を受賞し始めた頃のもので,白を基調とした抽象的な造形表現が特徴です。この頃の作者は,風や冷たさといった目に見えないもの、自分の心象的なものを形にしようと制作していました。
その後,同郷の日本画家・奥田元宋と結婚し,夫を支えながら,互いに刺激を与え合うなかで,色彩豊かな女性像へと作風が変化しました。
【作家解説】
1936(昭和11)年
大阪府堺市に生まれ。旧姓・川井小由女
1972(昭和47)年
第4回日展で《或るページ》が特選を受賞、1974(昭和49)年の第6回日展で《風》が再び特選を受ける
1976年(昭和51年)
同郷の奥田元宋と結婚
1998(平成10)年
人形作家としては初めて日本芸術院会員に任命される
2014(平成26)年
日展理事長に就任
2020(令和2)年
人形作家としては初めてとなる文化勲章を受章