伊勢踊り衣装
いせおどりいしょう
概要
「伊勢踊り」は慶長19(1614)年に伊勢地方で流行した風流踊が全国に広がったとものといわれる。伊予国には寛永年間に土佐国(高知県)から宇和郡に伝わり、宇和島初代藩主伊達秀宗が保護し、各地に伊勢神を祀る神明社が建立された。このため、伊勢踊りは愛媛県内でも旧宇和島領内に多く伝わっている。なお、「ヨーイトコセ、ヨーイヤナ」の囃しの「伊勢音頭」は西条市をはじめ県内各地に見られるが、「伊勢踊り」より後の時代に流行した別のものである。伊勢踊りには除災の力があるとされ、各地の神社で病人祈祷や厄払いの際に奉納されていた。現在でも伊方町二名津では春祭に厄年の者の厄除けのために伊勢踊りが演じられる。八幡浜市穴井では明和2(1765)年から正月から欠かさず行われ、老人による長命祈願の組織「長命講」により継承されている。写真は宇和島市下波の伊勢踊りである。ここでは小学生男子(少子化のため現在は女子も参加)が花笠を被り、女性の衣裳を着て、扇や御幣を持って、歌と太鼓に合わせて踊る。毎年9月16日に神明神社で豊漁祈願のために奉納される。このように奉納目的は様々となっているが、江戸時代初期〜中期にまで遡る歴史のある民俗芸能といえる。
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愛媛県歴史文化博物館