薄萌黄地糸巻桜紅葉模様肩衣
うすもえぎじいとまきさくらもみじもようかたぎぬ
概要
薄萌黄色の麻地に八重桜と紅葉に糸と糸巻を白上げ、色挿しで表した狂言肩衣である。
美術工芸品は実用品でもあるため、意匠によって季節が限定されるが、春にも秋にも使うことができるこうした意匠は重宝される。陶磁器では、桜と紅葉の華やかな意匠は雲錦模様、あるいは雲錦手と呼ばれている。
糸巻は糸を巻き留めるもので、篗(枠)と呼ばれる回転するようにしたものと、板状のものと両方が描かれ、糸は華やかな赤と藤色である。桜・紅葉に糸巻を組み合わせた意図は不明だが、このように明るく華やかな肩衣は狂言装束としては極めて稀である。