盤
ばん
概要
平たくて径の大きな皿のような盤(ばん)は、商代には内底面に蛙やとぐろを巻いた龍などの文様を飾る特殊な器だったようだが、その後、文様がなくなる傾向にある。西周中期以降、水差しの匜(い)とセットで出土するようになる。戦国期に成立した文献には儀式などの前に手を洗う時に、その水を受ける道具として記載されているので、この段階ですでにそのような用途の器となっていたことがうかがわれる。この盤は西周後期のもので、側方に簋(き)と同じような両耳がつき、一条の鱗文帯がめぐるのみのシンプルな装飾である。
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.48, no.190.