銅五大明王五鈷鈴
どうごだいみょうおうごこれい
概要
鈴身(れいしん)に五大明王像(ごだいみょうおうぞう)を浮彫状に表した大ぶりの銅五鈷鈴(どうごこれい)。鈴身の口縁は五弁の花形を呈しており、身側面も縁の形に対応して五つの隆起を作っている。この隆起上に各一尊の明王像が表されているが、構成は不動明王(ふどうみょうおう)を起点に右回りに烏枢沙摩(うすさま)、降三世(ごうざんぜ)、軍荼利(ぐんだり)、大威徳(だいいとく)となっている。鈴身の肩に十弁の蓮弁を三段重ねている。把は中央に縦長の鬼目(きもく)を7箇表し、上下に子持ち紐帯(ちゅうたい)で約した蓮弁帯を作っている。鈷部は脇鈷(わきこ)が獅噛(しがみ)を有し、大きな逆刺(さかし)を見せる忿怒形(ふんぬぎょう)で、中鈷(ちゅうこ)、脇鈷とも各面の両側に樋(ひ)を陰刻している。鈷の表現は中国・唐時代や韓国・高麗時代の法具に類例が認められるが、このような大ぶりの法具は高麗時代のものにしばしば見ることができることから、ここでは高麗時代と推定した。
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.30, no.15.