三成古墳
さんなりこふん
概要
S53-12-034[[三成古墳]さんなりこふん].txt: 三成古墳は、岡山県[[美作]みまさか]地方の中心・津山盆地の西方を流れる久米川左岸の南向きの丘陵端に営まれた前方後方墳で、昭和52年墓地造成工事中に発見され、53年に岡山県教育委員会が発掘調査した。
本古墳は、丘陵端上に旧地形を一部整形し、なお盛土して築かれたもので、前方部を東に向けた前方後方墳であることが確認された。墳丘の全長は35メートル、後方部1辺約20メートル、前方部は北側が崩れて明確でないが幅約16メートルある。後方部と前方部に墳丘と主軸を合わせて箱式石棺による主体部が設けられ、後方部の主体部からは男女2体の被葬者が互いに逆向きに埋葬されていて、そこに変形四獣鏡、鉄剣、鉄斧、鎌等が副葬されていた。前方部の主体部からも男女2体の被葬者が検出された。
この古墳はくびれ部が低平で、かつ後方部上半のみを鉢巻状に葺石がめぐっていたことがわかった。なお、後方部裾部付近から3個の小形の箱式石棺が検出されている。
前方後方墳は、前方後円墳と比較対比してその意義が全国的に注目されているもので、岡山県下では備前車塚古墳等の古墳時代前期に遡るものがあるが、その他にも前方後方墳が比較的多く営まれた地域の一つであることが判明してきた。三成古墳は、これらの前方後方墳のうちでその内容が調査で判明した数少ない例の一つであり、立地等からも古式に属する古墳として典型的なものといえる。前方後方墳を含む古墳の研究上およびこの地域における歴史的推移を知る上で重要なものである。