饕餮文瓿
とうてつもんほう
概要
殷周時代はほぼ中国の青銅器時代と重なり、この時代では祭祀と軍事がもっとも大切なことと考えられていた。祭祀は祖先神は自然神を供養して、子孫繁栄や物質的利益の供与を約束させるためのもので、そこで使われる器物は古典の中で彝器と呼ばれていた。彝器は祖先を祀る廟で常に使う楽器の鐘や、飲食用の器をさすものとされている。木、竹、陶器などでも作られたが、なかでは青銅製のものがよく残っている。 これは大形の酒甕で、胴が膨らみ丈が低い姿のため瓿と分類されている。総体に浅い平彫りで饕餮文や蝉文、夔鳳文、虺龍文をあらわし、犠首(怪獣の頭)を三方につけてある。このように蓋から圏足まで文様が異なるのは珍しい。身の内底に「亞■」と読める銘がある。河南省安陽市候家荘殷墓から出土した器物の一つである。
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