黒浜貝塚
くろはまかいづか
概要
黒浜貝塚は埼玉県東部に位置し、大宮台地東部の標高14〜16mの舌状台地上に立地する、縄文時代前期の集落に伴って形成された貝塚である。貝塚の存在は古くから知られ、本遺跡出土土器は関東地方を中心に分布する縄文時代前期の黒浜式土器の標式となっており、学史上も著名な遺跡である。
蓮田市教育委員会による範囲認調査の結果、集落の規模は東西150m、南北95mほどで、その中央部分には北側谷部に向かって開口する東西約50m、南北約40mの窪地状の広場を伴うことが明らかとなった。貝塚は竪穴住居の廃絶後のくぼみと竪穴住居の外の生活面に小規模に形成されており、ハイガイを主体としてマガキ、ハマグリ、ヤマトシジミが含まれる。出土遺物としては土器、石器、骨角器、状耳飾りなどがあり、中でも管玉や臼玉、貝製装飾品が多く見られる点に特徴がある。
本貝塚は学史上著名であり、南関東の自然環境の変遷や当時の生業を考える上で重要であるとともに、集落の構造は、中期以降顕著となる環状集落の萌芽とも見られ、集落の変遷を考える上でも貴重である。