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紙本金地著色洛中洛外図〈/六曲屏風〉

概要

紙本金地著色洛中洛外図〈/六曲屏風〉

絵画 / 江戸 / 中国・四国 / 岡山県

岡山県

江戸

一双

岡山県岡山市丸の内2-7-15

重文指定年月日:19960627
国宝指定年月日:
登録年月日:

財団法人林原美術館

国宝・重要文化財(美術品)

 京の町を南北の線で分かち、右隻に左京から東山にかけての景観を、左隻に二条城を含む右京および北山から西山にいたる景観を描いたものである。富山・勝興寺【しようこうじ】本(重要文化財)、および左隻のみが残る文化庁本(旧山岡家本)などとともに、基本的には二条城天守の出現を機に新たに作られた洛中洛外図の定型を代表する一本としてすでによく知られている。ただし、先の二本に比べて画面の構成に変化を与えて京都の繁栄を豊かに描く点に、本屏風の大きな特色がある。すなわち、先の二本において三扇にわたって描かれていた二条城は、本屏風では一扇半ほどを占めるにすぎず、これにかわって町家の景観が画面の半分近くを占めるまでに大きく扱われ、しかも町筋が折り曲げて描かれることによって、賑やかな印象を与えるものとなっている。描かれた人物は、両隻あわせていずれの作例にもまさる三、六〇〇名近くにのぼる。二条城を描く新しい定型のもっとも初期の作例の一つであるとともに、さらに豊富な風俗的事象を盛り込んで勝興寺本とは異なる生彩があり、洛中洛外図の展開を示す重要な作例である。
 描かれた景観は多岐にわたり、一元的な景観年代は決めがたいが、慶長十八年(一六一三)に修築がなった内裏の南門がすでに描かれていること、寛永元年(一六二四)十月にほぼ取壊しの終わった伏見城がいまだ丁寧に描かれていることなどから、少なくともほぼ元和年間(一六一五-一六二三)の景観と見ることができる。さらに、元和元年(一六一五)に大仏殿東南の祥雲寺の地を与えられてここに移転した智積院がすでに描かれる一方、西本願寺の伽藍が記録に伝えられる元和三年(一六一七)の焼亡以前の姿にいまだに対応している点なども注目される。
 いずれにせよ、画風からみて、本屏風の制作年代もこのような景観の年代をさほど下らないころと考えてよいであろう。山や樹木、円みのある人物などの描きかたには狩野派とは異なる特徴がみられ、当時の町絵師的筆者を想定することもできよう。

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