黒扇〈藤島武二筆/油絵 麻布〉
こくせん
概要
藤島武二は、日本人には珍しいといわれるほどに油絵的体質に恵まれ、自己様式を力強く展開させていった巨匠である。若い頃は同郷の先輩である黒田清輝の指導と影響を受けたが、芸術的性格の相違を早くから自覚し、おのずから別の道を歩んでいる。このような彼の才能は約四年間にわたるヨーロッパ留学によって大きく開花し、彼の芸術の一つの峯を形成するにいたった。本図はこのような滞欧時代の秀作の一つとして、また彼が好んで画いた婦人像の代表作にあげられるもの。明快な明暗の構成や、多彩の対比、力強い筆触は彼の造型の優れた特質をよく示している。
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