延喜式(九條家本)
えんぎしき
概要
延喜式(五十巻)は、醍醐天皇の勅を奉じ、藤原忠平等が弘仁・貞観の二式を集大成し、延長五年(九二七)撰進したもので、奈良・平安時代の国家制度を知る根本法典とされている。この九條家本は、摂関家であった九条家に伝来した古写本で、途中に欠巻はあるが神祇式から内膳司式に至る二十七巻を存し、まとまった古鈔本としては現存最古本である。本文の体裁は必ずしも同一でなく、筆跡も分かれ、巻第七のように重複した巻次もあるが、ほぼ同時代の成立と認められる。ほぼ全巻に亙って加えられた朱墨の仮名は、平安・鎌倉時代の読法を伝えて国語学上にも貴重である。紙背の文書は、康保三年(九六六)から承保元年(一〇七四)に至るおよそ百八十九通で、寛弘元年讃岐国戸籍、上野国交替実録帳、康保三年清胤王書状など伝来稀有な文書が多く、平安時代の史料として学術的価値が高く、名家筆跡も含まれている。
附の一巻は、延喜式(京職式)に定める京程に左京、宮城以下の諸図を加えたもので、南北朝時代の書写であるがその内容は平安時代における左右京、大内裏、内裏等の姿を伝えている。