掃墨物語絵巻
はいずみものがたりえまき
概要
掃墨物語絵巻
はいずみものがたりえまき
歴史資料/書跡・典籍/古文書 / 絵図・地図 / 室町 / 南北朝 / 日本
南北朝-室町/14-15世紀
縦33.3 上巻長503.9 下巻長508.1
二巻のうち
重文
白粉と眉墨とを取り違えて顔に塗り、化粧にしくじり男に逃げられた娘が、これを悲しみ仏心を起こし剃髪するという遁世物語の絵巻である。そのストーリーは『堤中納言物語』に収められた「はいずみ」をはじめ、狂言「黒塗女」にまで受け継がれていくが、笑いを含んだ結末とは異なり、仏教帰依を勧める点に主題がおかれている。絵は、移りゆく四季の景物を背景として物語が展開するように構成され、また登場人物の独白や対話などの画中詞により、人物の行動や心理が語られている。空間をゆったりととった画面構成、柔和な人物表現、こまやかな景物描写と入念な彩色など、画面のたしかな技量がうかがえる。また宋や元時代の中国画の影響も指摘されている。
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