桜流水螺鈿蒔絵小鼓胴
さくらりゅうすいらでんまきえこつづみどう
概要
小鼓は能楽で用いる打楽器で、胴・革・調べ緒からなる。胴は全長約25センチで、主に桜材で作られている。革は直径約20センチで、若い馬の革を多く用いる。胴と革は調べ緒で連結され、演奏中は調べ緒の締め付け具合で音色を変化させる。また、革に息を吹きかけたり唾液をつけたりすることで湿度を保ち、柔らかな音を維持する。
本作は、平間修の依頼により、素地を杉本小楠が挽き、加飾を松田権六が施した小鼓胴で、昭和42年(1967)12月に完成した。
請は磨地で拭漆が施され、黒漆で「権六作之」、朱漆で「松」と朱文方形描印がある。
外側は黒蝋色塗地に研出蒔絵で流水を表し、桜の花びらは夜光貝を割貝で表し、桜の蕊には金平文を置いて表している。
掻合塗の外箱には蓋甲に「小鼓」、見返しに「昭和四十二年十二月吉日/鼓匠 杉本小楠/蒔繪 松田権六」と朱漆で書付けられている。
制作に関する打合せを行った際の書簡類や、制作工程の調書も附属しており、工芸資料としても貴重である。
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国立能楽堂 資料展示室