金林寺薬師堂
こんりんじやくしどう
概要
金林寺は,高知県東部の山間部にあり,高野山真言宗に属する。創立は平安時代後期に遡ると考えられ,地域の信仰の拠点であった。
桁行3間,梁間4間で,内部は外陣と内陣からなる。屋根は寄棟造,銅板葺で,建築細部は室町時代中・後期の様式をよく示している。
内部にある厨子は,露盤天板裏面の墨書から永正15年(1518)のものと判明する。
金林寺薬師堂は垂木を用いず板軒とする珍しい手法で,優美な外観をもち,簡素ながら檜,杉の良材を用いた上質なつくりに特徴がある。
四国中・南部において16世紀初頭以前に遡る数少ない例として貴重であり,この地域の建築文化の成熟を示す遺構として,価値が高い。