霧島神宮 登廊下
きりしまじんぐう のぼりろうか
概要
霧島神宮は霧島山の中腹の傾斜地に鎮座し、高千穂山頂に向かって社殿が配置されている。現在の社殿は鹿児島藩主によって、正徳五年に復興されたものである。
本殿・弊殿・拝殿は大規模な複合社殿で、登廊下で達する一段高いところにあり、登廊下の下に勅使殿が建ち、この前方両側に門守神社が配置される。また登廊下の途中から西に廊下が出て、神饌所につながっている。
本殿は正面五間、側面四間、入母屋造で、正面に一間の向拝をもつ大規模な建物で、組物や各所に用いられた彫刻には極彩色を施し、また小壁や天井に絵を描き、柱等軸部は漆塗とする。また向拝柱には龍の彫刻を施している。拝殿は入母屋造で、正面に千鳥破風、向拝一間をつけ、極彩色、漆塗としている。勅使殿は方一間、入母屋造で正面に唐破風造の向拝をつけるなど派手な意匠によっている。
本殿・弊殿・拝殿、登廊下、勅使殿など同時期の建築が群を構成している。各建物は極彩色、漆塗・朱塗などとし、彫刻や絵画などで装飾した豪華な表現をしており、建物の質がよく、保存状況もよい。また各建物にみられる彫刻や絵様には時代の先取りの傾向が強くみとめられ、また本殿向拝柱の龍の彫刻の手法などに地方色がみられ、鹿児島地方の代表的な近世社寺建築である。