紙本著色浜松図〈/六曲屏風〉
概要
浜松図は名所絵の画題としてはじまった。古くから障屏画に好んで描かれ、絵巻物の画中にもしばしば見ることができる。代表的な遺品には本図のほか里見家本・小坂家本(重文)がある。いずれも室町時代の制作であるが、各々図様・画趣を異にしている。特に本図は単に浜松の景を画くのではなく、松や柳にきれいに咲く草花、小禽を配し、さらに狩猟・漁撈の光景など風俗画的なおもしろさを加え、全く他に類例のない多彩な構成をとっている。近世障屏画中でも類品のない意義深い作例である。室町時代末期、土佐派を学んだ画人の手になるものと思われる。