旧吉原家住宅(福岡県大川市小保)
きゅうよしはらけじゅうたく
概要
吉原家は,江戸時代には町の別当職を代々勤め,後に大庄屋を兼ね,巡見使等の宿泊にも供された旧家である。
屋敷は南面し,正面中央に御成門を構え,前庭を挟んで主屋が建つ。主屋は部材の墨書より文政八年(1825)の建築で,天保九年(1838)には幕府巡見使の宿泊に備えて増改築が行われた。御成門はこの時に新造されたものである。
旧吉原家住宅は,複雑な屋根の構成と大壁造の重厚な外観,玄関から上ノ間に至る接客部分と内向き部分の動線が明確に区分された平面構成に特色がある。
また,楠の大材を使用した土間廻りの豪快なつくりと,優れた細工による座敷廻りの洒落た意匠とを兼ね備えている。江戸後期の上質な大型民家の姿を伝えるものとして,高い価値が認められる。