黒森神楽
くろもりかぐら
概要
黒森神楽は、権現【ごんげん】様と呼ばれる獅子頭【ししがしら】を持って地域の家々を訪れ、厄払いや家内安全、供養、新築祝いなど様々な願いに応じた演目を演じ、また夜には民家の座敷などで、能や狂言と関わりのある演目などを演じる民俗芸能で、他に類例が少なく、芸能の変遷過程や地域的特色を示している。
権現様を持って地域を廻る黒森神楽の巡行は、宮古市北方の市町村を廻る北廻りと、同市南方の町村を廻る南廻りが、隔年で行われている。黒森神社を1月3日に出発して戻るまで1ヶ月余りである。
訪れた地域では、家々の戸口などで権現様を中心に多様な願いに応じて舞う。夜には地域の民家などに近所の人々が集まるなか、12ほどの演目を披露する。これを夜【よ】神楽と呼ぶことがある。まず神を招く歌と楽器伴奏がある。続いて前半は儀式的な舞が演じられ、後半は滑稽な内容のものや女性・武士を主人公にした演目などが演じられる。その内容は、日本神話や能に関わるもの、さらに狂言と同様にせりふ中心に展開されるものなど多彩である。舞は、動きが早く、時に高く跳躍するなど勇壮活発なものが多い。
このように黒森神楽は、地域の家々を訪れ、厄払い、家内安全などの様々な願いに応じた演目、多彩な内容の夜神楽など、他に類例の少ない神楽であり、芸能の変遷過程や地域的特色を示す民俗芸能である。
(※解説は指定当時のものをもとにしています)
所蔵館のウェブサイトで見る
国指定文化財等データベース(文化庁)