松浦宮物語(色紙、金銀泥下絵料紙)
まつらのみやものがたり
概要
綴葉装桝型冊子本で、料紙は斐紙を用い、素紙のほかに紫・縹【はなだ】の色紙、蝶鳥・海辺・秋草・山水等に一部芦手絵【あしでえ】を用いた金銀泥下絵【きんぎんでいしたえ】及び打曇紙を取合せ、美麗な姿にしつらえている。本文は半葉十一乃至十三行充て、一筆に書写され、仲々に流麗な筆致を示している。この物語は鎌倉時代前期に成立した擬古物語であって、近年藤原定家の壮年時代の作とみる説が有力である。本帖は続群書類従本などの流布本の組本と目されるもので、鎌倉時代小説物語の古写本として貴重である。蜂須賀家伝来。