専称寺 庫裏
せんしょうじ くり
概要
専称寺はいわき市東部にあり,応永2年(1395)に開創された浄土宗寺院である。東面して総門を構え,その奥の小高い山の頂上付近に主要伽藍を配する。
寛文8年(1668)に伽藍の大半を焼失したが,漸次伽藍を復興した。本堂は桁行11間,梁間9間の規模を有し,寛文11年(1671)の再建と伝える。茅葺の庫裏は元禄3年(1690)の再建,総門は近世前期の細部意匠がみられる。
専称寺は東北地方における浄土宗の中心で,有数の檀林となった寺院であり,本堂や庫裏の規模はその格の高さを示している。
本堂は広く開放的な外陣や閉鎖的な内陣,その両脇に説戒堂などの部屋をもつ特徴的な空間構成になるとともに,華美に陥らない落ち着いた意匠をもつ。庫裏や総門など主要建物が残る点も重要である。