夏の海岸
概要
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中西利雄(1900−1948)
NAKANISHI,Toshio
夏の海岸
Beach in Summer
昭和11年(1936)
東京国立近代美術館蔵
水彩画家を志しながら,その水彩画を異端視する東京美術学校西洋画科に学んだ中西は,従来のイギリス風の風景水彩画に,水彩の味に頼りすぎる弱さを自覚,デッサンを重視することにより堅固な画面を構築し,かつ不透明水彩(グワッシュ)による混濁のない彩度の高い色彩を用いることによって,まったく新しい水彩の道を開いた。この作品は第1回新制作展に出品されたが,洗練された都会的なモダニズムを漂わせる作風は,この年,新制作派協会を結成した中西ら若い画家たちの清新な気分をよくあらわしている。