歴史資料/書跡・典籍/古文書 その他 / 安土・桃山 平安 室町 鎌倉 南北朝
鹿王院は、康暦二年(一三八〇)に将軍足利義満(一三五八~一四〇八)が春屋妙葩(一三一一~八八)を開山に招請して創建した大福田宝幢寺の開山塔として始まり、以後、春屋門派の中心寺院となった。
本文書群のうち、「崇光上皇宸翰書状」等の宸翰一巻(四通)が大正五年に「紙本墨書鹿王院文書」として重要文化財に指定され、中世文書を主体とする八〇四通を追加指定した。
春屋が活躍した南北朝時代の文書は、本文書群の中核をなすものといえ、南禅寺、天龍寺、相国寺の創建や運営、五山制度、僧録制度の確立に貢献した春屋の事績を裏付ける一級史料である。
本文書群は、南北朝時代に大きな影響力を有していた春屋門派の中心寺院である鹿王院に伝わったもので、宝幢寺のほか金剛院、天龍寺、臨川寺等に関わる文書も含み込んでおり、南北朝から室町時代の禅宗史研究上において極めて価値が高い。また、当初の形態を保った文書が多く古文書学的にも貴重である。