d) 保存修復のための措置及び管理計画 | i) 姫路城の建造物及び史跡の管理 指定建造物及び史跡は、文化財保護法の規定により、姫路市が管理団体に指定され(建造物1964年、史跡1930年)、国の指導のもと、その管理や保存にあたっている。姫路市では、姫路城管理条例(1964年)を制定し、公開のための規則、車両通行禁止区域、立入禁止区域、防火に関わる体制・組織等を定めて、防災や環境整備・保全などの管理面の万全を期している。管理の実務は、姫路市役所の組織である姫路城周辺整備本部とそれに属する姫路城管理事務所が行っている。 指定建造物については、姫路市の修理技術者が日常の維持修理事業を監督し、また防災設備を整え(付属資料14a,b,c)、一般見学者に公開している(付属資料14d)。 史跡地域については、1969年に関係諸機関によって、特別史跡指定地内における現代の建物・施設の移転、指定地内の開発規制の方針が決定している(付属資料13 史跡保存管理方針図)。この計画に基づいて、19世紀後期以降に建築された文化財価値を損なう建物の移転事業、土地の公有化、旧状を失っていた外濠、南部土塁の復原が実施された。この方針は、さらに1986年に定められ公刊された史跡設備基本構想においても継続している(別添参考資料2)。 管理の最終目標は、近世の姫路城の旧状で指定建造物及び史跡を保存するとともに、近世の姫路城を理解する上に必要な空間の確保と整備においている。史跡の大部分は、公園として公開されており、特に内郭の西端の一郭は好古園と名づけられた庭園として整備されている。この他、歴史学習の施設として姫路市立日本城郭研究センター、姫路市立美術館、兵庫県立歴史博物館があり、見学者に公開されている。 付属資料13 史跡保存修理方針図 付属資料14 14a 火災報知設備配置図 14b 消火栓設備配置図 14c 避雷設備配置図 14d 活用関係施設配置図 別添参考資料2 姫路城史跡設備基本構想図 ii) 緩衛地帯の管理 姫路市は、史跡の周辺地域について、都市景観条例(1987年)を定め、大規模建築物の建設の届出を義務づけ、それに対する指導助言を行っている。とりわけ緩衛地帯である都市景観形成地区については、史跡の性格に調和するべく、景観ガイドラインの遵守を求めている(付属資料4)。都市計画法においては、史跡の周辺地域では用途地域を指定し、容積率、建ペイ率の規則を定めている(付属資料15)。しかし緩衛地帯における上記の規制は、この都市計画規制に優先することになっている。 付属資料4 資産内外の法的保護区分図 付属資料15 都市計画図 付属資料13 史跡保存管理方針図 |
e) 地域開発計画等 | 姫路市における地域開発計画としては、鉄道(山陽本線)高架事業にともなう推薦地域から約1キロメートル離れた駅周辺での再開発計画はあるが、緩衛地帯に大きな影響を与えるものではない。 |