正門の東西に延び、敷地周囲を画す総延長１７３メートルの石塀。北側は石塀と一体的に祠を築き、石碑を祀る。花崗岩を用いた切込接の布積、谷積を組合せ、隅を算木積で精緻に積上げるなど、石工の高い技術を示す。重厚な屋敷構えで、独特な景観をつくる石塀。

敷地東面の階段上部に建つ、切妻造平入桟瓦葺の門。冠木上に架けた三筋の梁上に立つ束で棟木を受け、軒は一軒疎棰。中央の門口にケヤキ一枚板の重厚な門扉を開く。脇間の壁は黒漆喰塗で、腰は竪板張とする。石塀と一体で旧家の格式ある表構えをつくる正門。

主屋の北東に位置し、道具蔵の西隣に建つ衣装蔵。土蔵造二階建、切妻造妻入桟瓦葺の東西棟で西面に戸口を設け、庇を付す。内部は各階一室で床を拭板張とし、小屋組は妻梁に架かる地棟に束を立て棟木を受ける。道具蔵や石塀と一体で敷地景観を形成する土蔵。

敷地北東隅の石垣上に建つ、什器などの収納蔵。土蔵造二階建、切妻造平入桟瓦葺南北棟で、西面に下屋を付し、蔵前とする。各階内部は窓が少なく、閉鎖的な一室で、床は拭板張とする。小屋は登梁形式。主屋や衣装蔵、石塀と一体で、敷地景観を形成する道具蔵。