刀 銘「於南紀重國造之」
かたな めいなんきにおいてしげくにこれをつくる
概要
大和伝手掻派の流れをくむ重国は、駿府の徳川家康に仕えた後、紀伊徳川家初代藩主頼宣に従って和歌山に移り、その後数代にわたりお抱え刀工となった。本品は、重国による鎬造の刀で、反りの浅い姿を呈し、小切先で棒樋を通し、茎は栗尻である。わずかに湾れのみられる細直刃は、匂口がよく締まり、帽子は小丸である。銘文の書体と文言から、江戸時代前期の寛永年間(1624~44)のころ、初代重国による和歌山における作例とみなすことができる。