置上菊香合
おきあげきくこうごう
概要
京都の陶工・西村善五郎(永楽保全)(1795~1854)作の香合である。保全は文政10年(1828)に、表千家10世吸江斎宗左(1818~60)らとともに偕楽園御庭焼拡窯のため紀州を訪れ、その業績によって徳川治宝より「河濱支流」・「永樂」の印章を賜り、名も永楽と改めた。それを記念して、翌年に製作されたのがこの香合である。印籠蓋造の蓋表に胡粉置上で吹上菊を描き、その他の部分は素地の上に朱漆を塗り、金箔を貼り付けている。蓋裏中央に「河濱支流」、身底面中央に「永樂」の拝領印が押されている。また、蓋裏の朱書は、自らの好みを表す吸江斎の「好」字と花押である。