白天目茶碗
はくてんもくちゃわん
概要
白天目茶碗は、天正元年(一五七三)十一月に織田信長が催した茶会で用いられた事例をはじめ、中世末期から近代初期にかけての茶会記に、その使用が記されている。武野紹鴎所持と伝えられるこの茶碗は、天目といっても建盞茶碗に見られるような厳しい姿ではなく、側面に膨らみを持った碗形である。この穏やかな形姿と口縁部の覆輪の金色、側面の清楚な白釉、見込に溜まったビードロの黄緑色と各色が、見事に調和のとれた発色をしている。これまで美濃で製作されたと考えられていたが、近頃この茶碗と同様な破片が多治見市小名田窯下窯から発見され、同窯がこの茶碗の焼かれた窯である可能性が出てきた。武野紹鴎からその孫の新右衛門、初代義直と伝来した。『玩貨名物記』所載。
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