円教寺摩尼殿
えんぎょうじまにでん
概要
兵庫県姫路市街北西に位置する書写山円教寺の中心仏堂。大正10年の焼失後、中世に遡る前身建物の規模と構成を踏襲し、近代に進展した古代から中世の寺院建築への理解を背景に新たな解釈を加えて、昭和8年に再建された。設計は建築家の武田五一。斜面に張り出し、懸造とした躯体は木太く豪壮で、柱の隅延びを用いた軒の曲線は優美であり、軒と縁下に三手先の組物が整然と並ぶ姿は圧巻である。蟇股、木鼻、格狭間など細部の彫刻は、中世の意匠を参考に、新味のある独特かつ華やかな意匠にまとめている。近代に再建した寺院建築の中でも規模が大きく、全体バランス、細部意匠とも質が高い均整のとれた近代の寺院建築の傑作として意匠的に優れている。