掛袱紗 紅繻子地老松童子文様繍
カケブクサ ベニシュスジオイマツドウジモンヨウヌイ
概要
掛袱紗は祝儀などの贈物に掛ける装飾の具で、寿福の場合は当然ながらふさわしい図様があらわされる。ここではほぼ中央に見事な枝振りを見せる老松を据え、その枝下に3童子が松かさなどを拾うところである。紅地に豊富な金糸の使用がいかにも吉祥の気分を盛りあげている。こうした場合、しばしばただ豪奢ばかりに傾いて品格が失われがちであるが、この1枚では金糸も比較的細く、丹念な松樹の表現、遠景の水波や雲などの細緻、童子の注目のゆきとどいたとらえかたなど、見どころが多いといえよう。