清水寺縁起絵巻 巻下
きよみずでらえんぎえまき
概要
京都の清水寺の始まりとその本尊千手観音のご利益を描いた絵巻です。全部で三巻ありますが、今回展示している下巻には、本尊をめぐる霊験あらたかな物語が描かれています。時期によって展示される場面が異なることがありますが、冒頭からご紹介します。
最初の場面は、清水寺の僧兼慶(けんけい)が信濃の国、現在の長野県を訪れたときのお話。大蛇にとらわれた兼慶が、清水寺の山門に仁王像(におうぞう)をつくって安置するという願をかけたところ大蛇は去っていきました。
次は、平安時代の二条天皇の葬儀の場面です。当時、大きな勢力を持っていた比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)と奈良の興福寺(こうふくじ)の僧たちが向き合っている様子を描いています。このときは、大きな混乱もなく無事葬儀を終えたものの、その年、比叡山の僧兵が押し寄せて寺に火を放ったというのです。
そのとき、ご本尊は自らお堂を飛んで出て、檜の木に飛び移り無事でした。そのシーンが描かれているのが3番目の絵です。
4番目の絵は、平家の侍盛久(もりひさ)が、源氏方に捕らえられた場面です。清水寺への信仰が篤かった盛久は、ある夜夢のなかで年老いた僧から秘密の呪文を授かりました。
5番目の絵は盛久の処刑シーンです。夢で教わった呪文を唱えると、なんと、盛久の首に打ち下ろされる太刀が真二つに!・・・展示に出ていない場面にご興味がある方は「e国宝」をご覧ください。