彩陶双耳壺
さいとうそうじこ
概要
丸く膨らんだ胴部に黒と赤の顔料で文様を描いた彩陶の壺である。底部は平らで、胴下部に一対の橋梁状の把手がつく。頚部は短く、口縁部にかけて朝顔のように外反しながら開く。胴部から肩部にかけてのスペースを、黒と赤の太い同心円文帯で区画しほぼ4等分する。
中国の新石器時代では時期や地域によって異なる、さまざまな製作技法と形態の土器が作られた。焼成前に顔料で文様を描いた彩陶もそのひとつで、現在の甘粛省や青海省で紀元前2500年から前2300年頃の新石器時代中期(馬家窯文化半山類型)にもっとも円熟した。文様は黒に加えて赤でも描くようになり、斜格子文と円文を組み合わせた幾何学的な文様帯はこの頃の彩陶によく見られる。本作は保存状態がよく、円熟期の彩陶がもつ特徴を遺憾なく示している。