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陶棺

とうかん

概要

陶棺

とうかん

考古資料 / 飛鳥 / 岡山県

出土地:岡山県美作市平福出土

古墳(飛鳥)時代・7世紀

土製

棺身 高62.1 長172.7 幅48.5 ; 棺蓋 高23.6 幅65.1 長90.9 展示台:970×740×190(2個)

1個

 陶棺(とうかん)とは、土でできた棺のことです。この陶棺は、比較的低温で焼き上げる赤褐色をした素焼きのもので、埴輪などの土成品と共通した作りです。家の形をしていて、蓋の部分は切妻型(きりつまがた)の屋根になっており、全体が12本の円柱型の脚で支えられています。大人が一人横たわれるくらいの大きさですので、形を崩さないように焼き上げるのは大変です。そこで、脚には空気を抜くための穴をあけ、蓋と棺をそれぞれ真ん中で二つに割り、パーツを分けることでうまく焼くための工夫をしたようです。
 特徴的なのは、棺の一面に人物などが浮きぼりであらわされていることです。古墳の中で棺を置く部屋である、石室(せきしつ)に入った時にまず目に入る面を正面とし、印象的なデザインをそこにあらわしたのでしょう。山らしきかたちを背景に、中央に人物が立ち、左右の馬のような動物の手綱をとっています。実は、このように全身が正面を向いた人物を描くというのは、古墳時代の図像では珍しいことでした。それまでは、顔が正面を向いていても足のつま先は横を向いているなど、体の構造としてあり得ないものだったのです。このように人物が真正面を向くのは、6世紀中ごろに日本に伝来した仏教の図像に似ています。仏教の影響を受けているのであれば、この人物の、仏頭を思わせる盛り上がった頭の形や、前景にある蓮のつぼみのようなものも説明がつきます。ただし、正面を向いた人物が両脇の動物を手なづけるという図像は、仏教にはありません。このような図像はむしろ、古代オリエントに似た例が多いものです。当時の日本と古代オリエントの、シルクロードを通じた交流がベースとなったデザインとして見るのも、面白いかもしれません。

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キーワード

/ とうかん / / 古墳

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